絶賛墜落中の空中遊園地

大地とキスするまでに遊び倒せ

とても大切な弦交換

ギターは弦楽器だから、弦の状態がしっかりしてないとまともな音が出ない。正しく弦を張り、きちんとチューニングをし、初めて楽器たる。ギターを買ったばかりのころは弦なんて錆びるまで使ってオッケー、などと思っていたが、それは大変な誤りだ。錆びる前に弦はあっさり死ぬ。弦がまともじゃないとまともな音は出ない。消耗品だけどけちっていい部分じゃないのだ。子供の頃はお金もなかったから仕方ないかもしれないけど。

そんな訳で弦交換の話。

 

弦の劣化ってなにが原因だろうか?

 

一つは、弦自身にかかるテンション。弦は基本的に張った瞬間から張力がかかり続け劣化していく。だからまったく弾いいてなくても、張ってから一定の期間がすぎれば死ぬはずだ。

もう一つは、弾くことで与えるダメージ。ギターを弾くってことは弦を痛めつけると同義だ。バシバシ弾くし、有機物の手でベタベタ触ったりこすったりする。金属には力学的にも化学的にも大変つらい環境だ。弾けば弾くほど弦は痛むはずだ。

 

 

ということで弦をいつ交換すべきか? には二つの指標が考えられる。

  1. 張ってから経過した期間
  2. 張ってから演奏した時間

どっちに引っかかってもアウト。

 

 

 

具体的にどのくらいか、は議論の余地があるだろう。

1の条件はギターと弦によって違うはずだし、2の条件はプレイヤーごとに違うはず。

自分は経験上、張ってから1ヶ月以上経過してから弾く時と、張ってから20時間を超えて引く場合は張り替えることにしている。

 

 

 

ちなみに張るのはダダリオな事が多い。安いしまともな弦だし密閉されてパッケージングされてるし。ほんとは弦でも音色の追求をすべきなんだろうけれど、モノグサなのでやる気が出ていない。ギターとアンプとエフェクターで音作りを詰め切れたと確信する日が来たら気にしようと思う。

 

あと、エリクサーに代表されるコーティング弦は長寿命をうたってるけど。錆びにくいだけで他の条件は普通の弦と変わらないはずだから特に寿命は変わらないのではないかと思っている。少なくとも自分はコーティング弦なら他の弦より長く張っても寿命が来なかった、という経験はない。錆びにくいだけだと思う。

もし弦自体の素材や構造が普通と違ってひっぱりに強いコーティング弦が存在するなら長寿命のものもあるのかもしれないが、聞いたことはない。

もし手汗がひどかったりするせいで普通の弦だと寿命が来る前に弦が錆びる人がいたら、そのような人には有益だと思う。

 

最後に。弦をまとめ買いしたら温度や湿度の変化がなく、直射日光が当たらない場所に保存すると良い。一般のご家庭で該当するのは冷蔵庫の中だ。湿度も温度も意図的に管理しないとガンガン変化してるので、他に該当する場所がある人はあまりいないだろう。

(間違っても弦をよく冷やすと音が良くなるなどということではない)

 

 

弦はどうもギターそのものに比べて軽視しがちだが、弦楽器たるギターにはとても大切なモノだ。あなたのギターの弦にも気を配ってやって欲しい。

リズム感と分解能

致命的にリズム感にかけるという自覚がある。メトロームだけを鳴らして演奏しても心地よいグルーブを作れない。他人が作ってくれたグルーブに乗っかって気持よく弾けている気になって楽しむばっかりでなく、ちゃんとメトロームでの練習もしないとダメだな。基礎的な練習してる時は特に。

 

ということでハーフテンポで鳴るメトロノームをバックビートと感じて練習をする。8 beat やシャッフルは意外とヤレるがノリは悪い。が 16 beat はてんでダメダメだ。テンポ84の16分音符と休符で構成されたファンクのフレーズを弾きながら、自分が16部音符を捉えられていなかったと自覚する。だが練習しているうちに、その16部の休符、1/16のスキマを捉えられる瞬間が来た。あの瞬間、一小節で2回しかならないメトロノームのスキマにあるリズムの捉え方が変わった。

 

 

なにが変わった?

 

 

リズム感とは結局、どこまで細かくリズムを把握できるか、ということだと思う。リズム、っていう時間軸に沿った音楽の流れに対する分解能が高いほどより正確な演奏に繋がる。リズムの細かさを4分音符でしかつかめないと音と音との間は連続性すら見いだせない遠い断絶に聞こえるだろうし、8分音符で掴めれば 8 beat を感じ取れる。 三連符が掴めればシャッフル感が感じられてきて、16分音符まで感じれば複雑さを持つリズムも体に入ってくる。32部音符までたどり着けばどんな世界が広がるのか。

 

 

テンポ120だと4分音符一つは500ミリ秒、8分音符なら250ミリ秒、16部音符なら125ミリ秒、32部音符で62.5ミリ秒。32部音符までたどり着けば桁が一つ変わる。分解能が一桁上がるのだから全然違う精度でグルーブが捉えられるのではないか?

256部音符までいけば一桁ミリ秒の世界にたどり着く。一流の演奏家の、あの凄まじいまでのグルーブ感はこのくらいのリズム分解能に支えられているのではなかろうか。

 

 

なにかを測定する時、測定の分解能が上がれば測定の価値は跳ね上がる。単に細かくなる以上の、明らかに今までとは違う次元の領域に踏み込める。なにかを測定することに人生をかけてる人たちは、だからどれだけ細やかな数字をとれたのかとても気にする。その測定の有効数字は何桁だ?

音楽もたぶん同じなのかな、と、そう思った。

 

 

 

さて、リズム感が時間軸に対する分解能に由来するなら、ハーモニーは音程に対する分解能に由来する、と考えるのが自然だ。そっちはあいにくそれと思い当たるような経験がない。まったく訓練できてないのだろう。

正確に響を聞き分け、音程を捉える練習をしないといけないだろう。なにか考えないとね。

あ、いい練習方法何か知ってる人は教えて下さい。

DTM と電子ピアノ

MIDIキーボードって必要? - 絶賛墜落中の空中遊園地

 

DTM宅録はやったことなくともピアノが弾ける、昔はやっていた、という人。パソコンやシンセはよくわからないけどピアノなら弾けるという人。ぜひDTM をやってみよう。ピアノ以外のパートを打ち込みで用意して演奏したり、ピアノソロでも市販のCD くらい音質を追い込んで曲としてまとめることができる。ほんの10年前ではプロの領域だったことが、今は個人の自宅で達成できる。知らないままというのはもったいない。

 

さて、ピアノを弾く人、弾きたい人がDTM に鍵盤を役立てるならやはりパソコンに接続できる電子ピアノが欲しくなるだろう。音を直接録音する以外に、演奏情報を音色と切り離して記録することができるようになる(MIDI という言葉、聞いたことがあるだろう)。手持ちの電子ピアノよりずっと良い出音のソフトウェアピアノ音源を使ったり、エレピやオルガンといった他の種類の鍵盤楽器はもとより、シンセサイザーのように他の楽器の音色まで使えるようにもできる。

本格的なシンセサイザーを既に持っている人はともかく、そうでない人には魅力的な話だろう。

 

DTM でピアノ弾く人が鍵盤を選定するには以下の点がネックになる。

  1. ピアノを弾くには欲しいハンマーアクション鍵盤がピアノ音色以外でじゃまになる
  2. ピッチベンドとモジュレーションが必要

まず1。

現在の電子ピアノは余程の安物以外、ハンマーアクション鍵盤という鍵盤を搭載している。アコースティックピアノの弦を叩くハンマーの動きを模しており、電子楽器のスイッチとしては不要な機械的な部分を持つ鍵盤だ。鍵盤を叩けばハンマーが動く。低音部が重く高音部が軽い。弾いた感触がハンマーアクションのものとそうでないものだと、ピアノの鍵盤として雲泥の差がある。

ハンマーアクション鍵盤は電子ピアノの最大のウリなので、各メーカーごと機種ごとにたくさん種類がある。カタログスペックと価格を並べて見比べる時、最優先で注意すべきことだ。どの鍵盤がどのくらいのグレードかはネットで探せばすぐわかるので調べてみるといい。

 

素晴らしい機能であり、アコースティックピアノとの差異が小さい高級品ほど価格が跳ね上がるハンマーアクション鍵盤だが、一つだけ問題がある。それは、ピアノ以外では役に立たないということだ。それどころか、邪魔にすらなる。

なぜか? ピアノ以外の鍵盤はハンマーアクションでもなければ重くもないからだ。オルガンやクラビネット、エレピにシンセ。全部ピアノしか弾かない人からしたらペコペコした鍵盤だ。だが、そういう鍵盤だからこそかの楽器たちはああいった演奏ができる。

ピアノとそれ以外の音色の違いだ。ハンマーアクション鍵盤はピアノの音色を鳴らすために、本物のピアノ鍵盤と同じ構造を持った鍵盤だ。ピアノ以外の音色のために作られてはいない。

アコースティックピアノを模したハンマーアクション鍵盤――アコースティックピアノを模したそれはアコースティックピアノの代替品としては優れた機能だし、鍵盤の基礎練習にもやはり向く。重い鍵盤から軽い鍵盤には対応できても逆は厳しいので。ただ、やはりピアノ以外の音色では弾きづらい。

 

 

次に2。

ピッチベンドとモジュレーションとはシンセには必須の操作子だ。キーボードの左はや左上にある二つ並んだホイール、あるいはジョイスティックを見たことがあるだろう。ない? ならカタログの写真を注意して眺めてくれ。

電子ピアノには普通、ピッチベンドとモジュレーションがついていない。シンセとしてピアノ以外の音色を弾く場合は必須の機能だが、ピアノには不要なものだからだ。

しかしシンセには必須だ。これでギターのようなベンドをし、ビブラートなどの音の変化をつける。管弦楽器なら表情をつけるのに使ったりする。弾きなれるほど無いと困る。

このピッチベンドとモジュレーション、電子ピアノには普通ついてない。ステージピアノといわれる機種ならついてるものも多いけど、プロ用だから値段も高い。

 

 

 

 

このへんのことを踏まえた上で鍵盤を選択することになる。

 

 

解決策A。

電子ピアノとMIDIキーボードを別に用意する。

全ての問題が解決するシンプルな手法。

ピアノ音色の時だけ電子ピアノを使い、他の時はMIDIキーボードを使う。

電子ピアノをハンマーアクション鍵盤のMIDIキーボードとして割り切り、音色はソフトウェアに任せるなら安めの電子ピアノで済むから、値段も特別高くはならない。

問題は、場所をとること。単純に鍵盤2つ分のスペースが必要になる。それとソフトウェアを常用することになるので、PC初心者には酷かもしれない。

 

 

解決策B。

ピッチベンドとモジュレーションがついたハンマーアクション鍵盤を用意する。

ハンマーアクション鍵盤でピアノ以外の音色が弾きづらい点は、我慢するか慣れで乗り切る。案外なんとかなる。特にあなたがピアノ弾きならピアノ鍵盤を思い通りに操るのはお手の物だろう。どうとでもなる。たぶん。

問題は選択肢が少ないこと。

単独では音の出ないMIDIキーボードで該当する商品はほんとうに少ない。マスターキーボード、もっと出してくれていいんだよ?

単独で音も出るステージピアノを含めればもう少しだけ選択肢は増えるが、こちらは結構いい値段がする。あと、ステージピアノはピッチベンドとモジュレーションの両方がついてないものも結構あるので買う時は注意。

他にはハンマーアクション鍵盤を積んだシンセサイザーを買うという手もある。やっぱり選択肢が少なく値段も高い物が多い。お手頃な物はハンマーアクション鍵盤とは名ばかりのがっかり鍵盤だったりもするので要注意。カタログを見比べて、搭載されている鍵盤が安電子ピアノと同じだったりしないか要注意。

 

 

 

解決策C。

ハンマーアクション鍵盤を諦める。

いや、冗談ではなくて。この選択肢を検討し忘れる、どころか思い浮かべそこねる人は多いんだ。ので一応、挙げておく。

本当にあなたにはハンマーアクション鍵盤が無くてはならないか、今一度検討するのも悪くない。

アコースティックピアノを弾く機会がなく、ピアノ音色以外の音色を使うことが多いなら、たぶんハンマーアクション鍵盤はいらない。生粋のシンセ弾きには「あんな重いだけの弾きづらい鍵盤をわざわざ高い投資をして手に入れたがる人の気が知れない」という人もいることを指摘しておく。

 

 

 

 

最後に。

鍵盤はやっぱり楽器なので。必ず実際に触ってから買うことをおすすめする。

カタログスペックとネットでの情報だけをアテに買うのはミスマッチの元だ。近場では目当ての機種そのものがなくても、鍵盤の種類が同じか近いものなら。ある程度のアテはつく。

ハンマーアクション鍵盤と言っても本当にピンきりで。安くても鍵盤はしっかりした機種もあれば高めでもがっかり鍵盤な機種もある。

ハンマーアクション鍵盤ではないシンセ鍵盤も同じだ。シンセとして弾きやすい良い鍵盤、というのは高級なハンマーアクションと同じくらい高かったりする。

この辺りは絶対的・客観的な指標が用意できない好みに帰結する領域だ。だからこそ、なおのこそ、自分自身でチェックすることを忘れないで欲しい。

 

 

 

PS.

ちなみにここまで音色自体の質に関してまったく触れて来なかった。

なぜかというと、現状ハードの内蔵音源より圧倒的にソフトウェア音源のほうが音がいいから。高級機種の内蔵音源は馬鹿にできないモノもあるけれど、それだってソフトウェア音源に匹敵する、くらいの意味だったりする。

PCを併用できる状況で音質を追求するならハードのほうでなくソフトウェアで解決したほうが費用対効果に優れると思う。