Slay the Spireは純粋にカードゲームなんだと頭を切り替えてプレイしたら上手くいくようになった話
Slay the Spire の話をする。
100万以上売れたらしいこのゲームを知らんって人は今すぐ買ってやろう(突然の威圧的同調圧力)。*1
さておき、Slay the Spire、カードゲーム風ローグライクとかドミニオンとRPGの間の子とか色々と創意工夫を凝らした紹介をされてきてると思うのだけど。
自分的にはこいつは純粋にカードゲームだと思うのが一番だと思っている。
RPGとかローグとかそんな気分でプレイしてたら稀にしか勝てなかったのが、カードゲームだと思い直してやったら上手くいくようになったからだ。
なんでそういう話をこのエントリではする。
RPGとかだと思うとまずい理由
最初は画面がまんまRPGの戦闘画面なのもあり
- 死んだらリセット
- 入手するものがランダム
- 道中のルートやイベントもランダム
- ボスが誰かもランダム
とかのせいで、結構不思議のダンジョンみたいなゲームをやってる気分があった。
実際、ランダムの中から勝ち筋を臨機応変に探っていく感覚はああいうゲームの楽しさと同質で、このゲームが人気な理由の一つでもあるはず。
なんだけども、そう思ってるとなかなか勝てなかった。
何でかというと、自分の場合、操作系がカードゲームなだけでRPGの戦闘だと思ってやってた時は、カード評価がRPGのスキルを評価する感覚に引きずられていたからなのよね。
その理由を象徴するのがこのカードの評価。
このゲームをやったことがない人ならこのカードの効果は
消費マナ0でこのカードを使用したターンのみカード1枚毎の攻撃力を2点増やす
と読んでくれて構わない。ちなみにこのゲームのカードの攻撃力は初期デッキの初期攻撃カードであるストライク1枚で6点ダメージ、これを機会の限られるカード強化しても9点ダメージ、そういうオーダーだ。
さて、これは強いカードだろうか?
カードゲームでは場の主導権を握るのがとても大事
RPG的に考えたフレックスとカードゲーム的に考えた時のフレックスの差異
RPG的に考える。
RPG的に捉えるならフレックスは
まぁどう考えても強いやつである。
なので、やっぱり自分も最初はこのカードが強いと思ってよくピックしていたのだ。そしてピックすればこのカードが腐る場面ってやっぱり少ないので、ずーっとピックすること自体への疑問なんて持たないままプレイしていたのだ。
しかしクリア率がとても低いままだったので、自分のプレイを省みることにした時、純粋にカードゲームだと思ってカード評価をやり直すことにした。*2
そうすると同じカードの評価はこう変わる。
- 消費マナ0
- 場に残るものを何も出さない
- このカード単体ではなにも生み出せない
- マナ消費こそ無いが、デッキリソースと手札を喰うのに見合うリターンを単独では出せないカード
- コンボパーツとして見た場合のカードパワーが小さい
ということで特別な理由がない限りピックしたら負けにつながるカードなのである。
え? なんでガラッと評価変わったの???
場の有利不利って概念
フレックスは、処理の関係で筋力ってのを場に出してその後消すって動きをするが、実質としてはカードをプレイしたらその時だけ効果があってそれで終わり、というタイプのカードである。筋力を積む効果と除去する効果が同時に出るので結局ターンが進むと筋力は消えてしまう。
つまり場になにも残さないカードだ。
さて。
同じ筋力を乗せるカードにはこんなカードもある。
発火、というカードだ。効果は
- 1マナ消費
- 場に筋力を2つ出す(その戦闘中、永続的に2点攻撃力を上昇、ということ)
- カテゴリ「パワー」のバフ効果カードなので、使用するとキャラの中に入ってデッキから削除される
ということでデッキ肥大化によるドローリソースの浪費は最低限に抑えつつ、1度のプレイで永続する攻撃力上昇を得られるカードだ。
1マナで2点の筋力を出すカード、と自分は理解している。
結論から言うとこれはフレックスとは比較にならないほど強いカードだ。出たら出た分だけピックしていいくらい強い*3。
その理由は良いから一度やって実感されたし、で終わって良いのだが。
一応、言葉で説明を試みようか(そういう趣旨のエントリだからな)。
残って積み上がる効果は盤面を有利にしていく
このゲームの初期状態。RPG風なのであまり疑問に思わないかもしれないが、割と特徴的な非対称状態で開始する。
プレイヤーは、場に自キャラという多めのHPを持ったユニットが1体だけいる状態でスタートする。逆に敵側はたいてい複数の自キャラよりは少ないHPのユニットが揃っている。
そしてこのゲーム、1ターン毎の敵の行動回数はユニット数に比例している。敵が複数いるなら敵はその数だけ行動してくる(RPG的には当たり前だけど、カードゲームだと思って場を見るなら大事な認識なのでいちいち言ってみてる)。
自キャラの行動はマナと手札があるだけできるので、弱いユニット複数を強い1体のユニットでなぎ倒していく非対称のゲームとなってる。
場自体の有利不利は基本的にはプレイヤー有利である。こちらが確定で先攻なこともあるし、行動回数複数でHPも多いユニットが既に出ているからでもある。
ただプレイヤーのユニットはHPが0になったらゲームオーバーって条件のもとで連戦するから、HPが多いってのは見た目ほどのメリットではなく*4。
手札はランダムでありマナが(特に序盤は)3マナに限られているので、例えば敵が複数居て攻撃しつつバフを積んでいったりこっちにデバフを置いてきたり、あるいは全力防御しても抜けてくるような威力の攻撃を積んできたり、そんな感じでジリ貧で潰されたりってのがよくある負けパタンだったりする。
自軍で他のユニットを出すって概念がないゲームなので。盤面を自分有利に寄せていくためには
- 敵の数を減らす
- デバフを撒く
- バフを積む
のどれかしかない。
発火はカード効果の通り、このバフを積んでるとシンプルに理解して良い。つまり盤面を有利にしている。場に筋力という永続する効果を置いている。それにより場を自分に有利な状況へ変えている。そういうカードだ。
対してやり玉に挙げているフレックス。
せっかく使っても筋力は上がった後ターンの終わりに下がってもとに戻る。つまり場は全く有利になっていない。そういうカードだ。
マナが0でしょ、と思う人もいるかも知れないが、忘れてはいけない。カードはデッキからドローして手札に無いと使えないのだ。
全力攻撃をするターンに手札に着てくれないと機能できない上にデッキを永続的に膨らませて他のカードも必要な時に引ける可能性を下げているフレックス。
対して発火は使えば場に残る筋力を出す。全力攻撃とは違うタイミングで先に出しておいても機能するし、そもそもちょこちょこガードの合間に殴っても強化が乗っている。カード1枚でどれだけの状況で実際に有利な効果を出せるか? という視点では明確な差が生まれている。
その理由を
- 発火は場に筋力を残せるから
- フレックスは場に筋力を残せていないから
でサクッと判断できるよってことだ。
他のカードゲーム的考え方も利用してみる
デッキ圧縮によってデッキパワーを上げるという考え方
デッキパワーを決める三要素
さっき「デッキ肥大化によるドローリソースの浪費」って表現も使ったので。
これもカードゲーム的な考え方であるデッキパワーって話もしてみよう。
カードゲームはカードの集合体であるデッキを使って戦うので。そのデッキ自体が強いか弱いかってのは重要だ。すごく弱いデッキを使ったらどれだけプレイヤーが上手い人でも強いデッキには勝てなくなってしまう。
そのデッキの強い弱い、どうやって生まれるのだろうか?
一つは当然、カード性能の差。強いカードと弱いカードなら強いカードが強いんだから*5、強いカードを集めたデッキは強いでしょ、という考えだ。もちろん正しい。
もう一つはシナジーの有無。あるカードが別のカードと組み合わさることで単体より強力な効果になるようなパタン。1+1が2より大きくなる的な考え方だ。コンボって言ってもいいだろう。そういう組み合わせになるようにカードを集めるのは大事だ。
そして最後。デッキの質。これがカードゲームやって来てない人が一番意識するべき要素だと思う。
カードは手札にあってコストが支払える状態で初めて使うことができる
RPGなら覚えてるスキルや魔法なんかは特に制限なくターン毎に好きに選べるものであるが。
Slay the Spireはカードゲームで、行動はすべてそのターンにドローできた手札のなかからしか選べない。
なので使いたいタイミングが限定されるカード、というのは実はすごく使いづらい。手札に引いても使えず腐ったりする。そういうのが多くなるカードはやってるうちに弱いとみんな気づくだろうし、ピックを避けるだろう。
この弱かったり使いづらいカードのピックを避ける、そうしてデッキの枚数を抑えて欲しいカードが欲しいタイミングで引ける可能性を上げる、ってのが大事な訳だ。同じようなカードで構成してるデッキでも大事なカードが1枚入ってるデッキと2枚入ってるデッキでは後者のほうが圧倒的に強かったりする訳だ。
同じようにカードを引く枚数を増やす効果とか、それ自体でしっかり効果がある上にドローもついてるカードなんかは強い。
あるいは何度も使う必要がない効果のカードだったら、使うと廃棄されたりデッキや捨て札じゃない場所に行くカードだと強い。
↑改めて発火(アプグレ版)。パワーのバフは使うとキャラにカードが吸い込まれてデッキや捨て札に行かないのでデッキ圧縮になる。強い。
この
- カードを積極的にピックしないでデッキ枚数を抑える
- 使ったらデッキから消えて圧縮になるカードを優先ピックする
って発想はとても大事だ。
一桁枚数のデッキを組んだことがない人はとりあえず一回やってデッキ圧縮のメリット・デメリットを実感してみよう
実プレイ上だと、デッキを圧縮というのも実は難しい。
- 初期デッキが決まっていて、一定枚数の弱いカードを強制的に抱えてスタートする
- カードをピックする機会は限られ、何が候補になるかもランダム
- カードを削除する機会はほんとに貴重で、機会がどれだけあるかもランダム
なので、強い上でカード廃棄効果のあるカードをデッキに入れたり、変化や削除の可能性があるイベントを積極的に利用したり、割とプレイヤーが頑張らないとデッキは圧縮しづらい。
それにピックを基本控えるという姿勢は、取るべきカードの見極めを難しくする。
特に序盤は、慣れるまでは単体のカードパワーが低いカードばかり来るからって必要なラインに到達してないのに攻撃札や防御札という基本行動のカードをピックせず、初期デッキと変わらないデッキパワーでボスに行って死んだり、うっかり勝って2層に進み1層ボスなみの火力の雑魚の群れに踏み潰されたりするだろうけども。
できるだけピックを控えることで、デッキ枚数が少ないことによる強さが理解できたり、あるいはたった1枚ピックしただけでデッキパワーを跳ね上げるだけのカードパワーがあるカードの区別がついたりするよ。
カードパワーの指標
- 場に永続効果を残せるか
- 単純に初期デッキカード(をアプグレしたもの)より効果の高いカードか
- デッキ枚数を増やしてしまうデメリットに見合うだけのメリットをデッキにもたらすか
- そのカードが機能したら勝ち確になるだけの力があるか
考え方を変えた結果得たもの:実績「エンディング」
まぁそんなこんなでつらつらと雑文を書いてきたが。
こうして頭を切り替えた結果、安定しなかった3層ボスも安定したし。
比較的最近に実装された4層の真ボス撃破も無事3キャラ全てで達成できた。
真ボスはマジでホント3層ボスまでが雑魚に思えるくらいなのできつかったが、カードの評価基準やプレイの組み立て方なんかをカードゲームだと思って見直した後の方針でやったらイケる組み立てが見つけれたので。
こんな感じで自分はSlay the Spireはカードゲームだと念頭に置いた方が攻略しやすいという話でした。
じゃね。
P.S.
気が向いたらカードパワーの高いカードの紹介とかやるかも? やらないかも?
P.S.2
1桁枚数デッキが強いの実例。
プレミ多いけどガチ勢じゃないのでその辺は見逃してね(小声)
slay the spire、アイアンクラッドのアセンション3で初手ボーナスにカード2枚削除着たのでミニマムデッキ(総枚数5枚以下)でのクリアを目指すも7枚クリアで実績は獲得ならず。ただ実運用でデッキ5枚になるデッキにはできたので、デッキ枚数が少ないデッキがエグ強いってのは示せるぜ( ó㉨ò) pic.twitter.com/cTTSh3Gjlz
— しーむと (@SHMT_) 2018年12月23日