絶賛墜落中の空中遊園地

大地とキスするまでに遊び倒せ

Destiny、実力派デベロッパの正統派新作FPS

RPGじゃないよ。

 

Haloを生み出したbungieの完全新作Destiny(PS3版)をざっとプレイした。

事前の宣伝ではまるでRPGの様な*1印象を受けたけど、蓋を開けてみたらまっとうなFPSだった。というかHaloとジャンルは完全に同じ。

単に最初にシングルとCOOPとマルチ対戦を選ばないってだけ。

インターフェースの面で工夫されて、プレイにおいてシングルかマルチかを特別意識しなくていいようにできていた。

 

しかし、普通のFPSである。

コンシュマー向けの大作系FPSだと、シングルキャンペーンとCOOP専用ミッションとマルチ対戦の3種類*2が揃っていないとボリューム不足と言われたりもするようだが、しっかり全て網羅してるわけだ。

特にCOOPミッションだとオートマッチングが滑らかで直ぐに3人揃ってゲームができる。なめらかなマッチングはほんとに素晴らしい。この点はマルチ対戦もそうで、マッチングだけでしばらく暇になってプレイできない、みたいなことがない*3

 

そんな訳でまっとうなFPSで十分に遊べたが、1つ問題がある。

それは、死ぬほどアンロックが面倒くさい、ってことだ。

 

 

 

Destinyは一応レベル制の育成要素を積んでるように見えるが。

実質的には要素が普通のFPSより多くて面倒なアンロックだ。Lvが低くてもミッションの要求水準を超えれば実質的に問題ない。Lvが上がったらその分敵のLvを引き上げる選択もできる(その分、敵のドロップも良くなる? っぽい)。よって、シングルキャンペーンだけやるつもりだと定期的にレベルが足りなくて敵が異常に硬くなるので、ぼちぼちCOOPやマルチ対戦を交えてレベルを引き上げておくと楽になる作りだ。

……シングルキャンペーンだけやりたい人にはメンドイだけよなこれ。

さらに、COOPやマルチもある程度ストーリーを進めないと選択できないようになっているので、シングルキャンペーンはどうでもいいという人にもメンドイだけである。

目指したものはなんとなく感じれるけど、プレイヤー視点でメリットを感じれない仕様かな。

 

 

 

ゲーム自体はHaloの系譜なパッド操作スポーツFPSとして順当な作り。

対戦ではスキルセットや武装は自分で事前に決めておく形だが。強力な武装の弾はマップで拾わないと使えず、例え殺し合いルールでもマップ内でオブジェクトを取り合う要素は残っている。

一方で多段ジャンプが使えたり、スライディングで相手の射線を切ったり不意をついて移動できたり。使用制限があるスキルで範囲即死攻撃したり胴体でも一撃の銃を召喚したりといった新しい要素もあってHaloまんまってわけでもない。

しかし近距離から密着までの距離で露骨に威力が変わるショットガン、頭に当たるかどうかで露骨に威力に差が出るHS重視のデザイン、そういった部分はHaloのプレイフィールに近い。

とは言えシールドが別にあるスタイルの割にDestinyでは敵は十分柔らかいので、反応速度と判断速度のスピード勝負な印象だ。AIMはほどほどでスピード感を保てる人が強い印象だ。ステージも見通しは悪目の作りで、遠目から先に見つけてAIM差で殺すみたいなシチェーションよりは、敵が次どこから来るか先読みして位置取りに気を配る方が重要な印象だった。*4

 

3vs.3のルールが特に面白かったので、やり込むならこの辺になっただろう(殺し合いよりobjが好きだからスカーミッシュよりはサルベージかな)。

味方の蘇生ありの小規模チーム戦ってことで連携をしつつ、敵を殺しきる戦闘力が重要だった。最後に自分だけ立ってればいいので味方を心置きなく利用して戦うのが大事だった印象。またゲリラ戦が上手くハマると1vs.3ってギリギリどうにかなる可能性がある戦力比。ショットガンやグレネード、ロケランやスーパースキルと言った瞬殺可能な手段が上手くハマれば個人の力で何とかすることもできる。いい塩梅だと思った。

勝ち越せるようになるまでに6マッチくらい使ったので、他のよくあるルールに比べて慣れが必要だけど、他にないDestinyらしい対戦ルールだと思う。

 

COOPもやたら硬いボスを3人がかりでなんとか削る遊びを楽しめるなら楽しいだろう。

ステージの作り自体は特にシングルキャンペーンのステージと変わらず。シングルキャンペーンの方でも自分で人を集めればCOOPはできるので、遊ぶ相手がいるならわざわざCOOPミッションにこだわらなくても良いだろう。

が、一期一会のPTでメンツ次第によるハプニングも楽しむつもりがあるなら野良COOPはやっぱりいいものだ。少々しんどいPTの後でびっくりするぐらい練度の高い連携ができるPTにあたったりするととても楽しいものだし。

 

とま、こんな感じでFPSとしてかなりしっかりした作りで遊びやすいゲームであるDestinyだが。

とにかくアンロックが面倒くさい。繰り返しになるが、これが大問題だったわけだ。

 

 

 

 

最大Lv20までは割りと遊んでれば直ぐに辿り着くので経験値稼ぎのために変則的なプレイをする必要はないのだが。ここからLv30まで上げるためには装備でレベルブーストのパラメータ(光)を稼がないといけない。そしてこの光つきの装備ってのが……手にはいらないんだ、全然。

基本的にレア以上の装備につくようだが、レアは1回のCOOPや対戦で1つ手に入ったらラッキー位。それが使い物になる水準である可能性はあんまりない。そして、レア程度だとLv22くらいで打ち止めになる。

つまり、更に上のレジェンダリ装備が必要なわけだが……これは本気で全く落ちない。1dを超えるプレイ時間でついぞ一度も落ちなかった。COOPや対戦で他の人にドロップするシーンを見たのもたったの1回。

ちょっとね、これドロップ絞り過ぎだと思う。

 

一応、レジェンダリは店売りで買うこともできるのだが。

レジェンダリを買うための通貨は対戦かCOOPでそれぞれ獲得できる別枠のものを貯めこまないといけない。これがまた獲得量が渋い。その上で、一週間にそれぞれ100しか貯めれないという制限もある。ちなみに装備は防具が1つ65から130、武器は230くらいする。防具が5箇所、武器が3種装備できるので、さぁ全身レジェンダリにするためにどれだけのプレイを継続的に続けないといけないかなぁ?

……かったるいだけだよねこれ。

 

 

更に問題なのが、Lvを上げるメリットの不足。

対戦はLv関係ないので元々どうでも良いし、COOPでもLvに見合った難易度を選択できるのでやっぱりどうでも良い。

一応、高Lvにならないと挑めない専用のCOOPミッションはあるようなのだけど。単に敵がLv上がった分硬いってだけで特別面白くはない印象。一応それなりにAIがアクティブになって難易度が上がるってことだが、COOPでAIが多少賢くなってもねぇ。レベルデザインが凝ってて殺しに来るステージ構成ならまた別だけども、Destinyはそういう作りじゃないし*5

どーにもやる気がでないよねこれ。

 

 

 

結局、トレハンというものを間違えてる、RPGというものを理解できてない、ってのが問題なんだな。

RPGってのは、育成することそのものが目的になるような、その育成でロールプレイが楽しめるような、そういうゲーム。

トレハンってのは、終わりなき戦闘のために、終わりなき装備強化を求めてドロップを集めたくなるゲーム。

 

DestinyはRPGと思うにはレベルを引き上げても体感上の変化がないのが問題。

ステータス差で敵をねじ伏せれるならFPSではなくなるから、個人的にはRPGである必要はないんだけど、発売前の宣伝の様子を見うにRPGを作ろうとした印象もある。だとすると明確に失敗しているわけだ。

せめてレベルを上げるメリットを作っておかないと。現状だと自己満足くらいしか意味が無い。しかもプレイが上手いとかそういうのと関係ない要素だから、Lv30って言われても暇と運を兼ね備えてるんだねぇ、位の感想しか出てこないのも問題。もっと自尊心をくすぐってくれないと。

高Lv限定のCOOPやミッションに参加するためって意味が一応あるけど、これは完全な間違い。レベルは戦ってる内に上がるべきであって、戦うための前提条件にされると一気にやる気が消える。戦いたい人は直ぐ戦わせないと。戦いたいならその前に甚大な作業をどうぞってなにを楽しませるつもりだったのか。作業か?

素性のいいFPSであることが完全に死んでしまうぞ。

 

また、トレハンを楽しむには根本的にミスっている。

トレハンってのは以下の3つを備えないといけない。

  1. リプレイ性の高い楽しい戦闘
  2. ザクザクのドロップ
  3. ランダムすぎる性能分布のアイテム

1の戦闘は完璧だ。

しかし2のドロップは話にならない。いくらなんでも渋すぎる。HSしたら確定でなんかだばっとドロップ、少し強い敵倒したらどかっとドロップ、ボスを落としたら辺り一面がアイテムだらけになるくらいドロップ。そのくらいしないと。*6

更に抜本的な問題を孕むのが3。

装備の性能がまとまりすぎてる。

銃は全てFPSのとしてまとも。FPSerなら分かるリコイルのくせや集弾の仕方、レートや精度と言った部分でもちろん差はある。が、FPSの銃として皆まともなので武器種が同じなら実質的な差をあんま感じない。このちょっとの差でわざわざドロップを掘り返そうって気にはならないよ。FPSerなら使い物になる銃ならなんだって使えて当然なんだから、そもそも特に困らないし。

防具に至っては実質的な性能差をあまり感じない。どうせ敵の攻撃を食らったら死ぬので、遮蔽物をきちんと使ったり、多段ジャンプやスライディングをきっちり使って避けるのが基本。FPSなんだからそりゃそうなんだけど、だったら防具なんて実質見た目しか変わらないじゃない。やっぱりトレハンする気になれないよ。

一応、防具も防御力ってパラメータはあるけど、Lv相応の場所にいる限り数値の差を意識するシーンはない。格下から殴られても平気ってのはゲーム的にどうでもいいし。

 

 

 

 

あとはゲームとしてのボリューム感も問題がる。

ゲーム自体のボリュームは大したものなんだけど、それはシングルキャンペーン、COOP、マルチ対戦、全てをする人間の話。

もしくはまぁCOOPかマルチ対戦だけなら十分単独でも遊べるだろう。それでもCOOPミッションは数少ない気がするけれど。

 

だが、シングルキャンペーンだけだとだめだ。がっかりするはず。

ストーリーがHalo:Reachを作ったbungieとは思えない淡白さ。オチ無しヤマ無し。タブン壮大な物語の序章、0章って感じなんだけど、それだけで喜ぶ人は少ないだろう。

特に宣伝につられてRPGかなんかだと思って買った人はシングルキャンペーンしかやらなそうだし、余計に嘆いてそうだ。それにレベルを保ちつつプレイしても、Haloのノーマルからハードくらいの体感難易度なので、FPS自体が苦手だったりするとソロでのクリアは苦労するかもしれない。

そんな訳でシングルキャンペーンだけやるつもりならオススメできない。

 

 

 

こんなところか。

Destiny、十分に楽しめるFPSであったが。

腰を据えるには対戦かCOOPを延々とやり続けてゲーム内資産を蓄えないと行けないめんどくさすぎるアンロック要素がネガティブ要素となる。

しかし、久しぶりにパッドFPSで対戦して思ったが。パッドでガチ対戦する気にはもうならないね、やっぱり。自分にDPI調整されたマウスを握れないなら真剣にAIMして戦いたくはないよ、疲れる。

それにゲーム内資産を蓄えるゲームってのは、それが台無しになるとすごい萎えてしまう。残念ながらPS4を買う気はないので、PS4にしか引き継げないPS3版をやりこんでも後で虚しくなるだけだろう。

そんな訳でDestinyは1dだけのプレイで終わりだ。この先PC版が(万一)出たら腰を据えて3vs.3の対戦マルチに集中したいと思う。

 

それでは黄金時代の終わりの世界で万が一また会う日があったらその日までごきげんよう。

-SHMTは挨拶をしている。*7

*1:特にボダランみたいなFPS操作のハクスラRPGを想定した人多いんじゃないかなあの宣伝だと

*2:しばしばこの3つ全て揃ってないといけない、みたいな風潮を感じるが。本来この3つは全く別のゲームであり1つのタイトルが全てを網羅する必要性はなかったはずだ。対戦マルチを主とする自分なんかは、開発リソースを散らすくらいなら特定のところに注力してほしいと感じてしまったりもする。しかし、bungieともなれば問題なく全部を高品質で作れる(当然、これは普通のことではない。さすがである)のでまぁいいや

*3:Titanfallは見習うように

*4:まぁFPSって本質的に射的ではなく位置取りゲーではあるのだけど。

*5:Halo3/ODST/Reachと最高難易度レジェンドでクリア済みだが、同じくやっぱり殺しに来るようなゲームではなかった。AIMさえしっかりしてればクリアできる普通のFPS

*6:この辺はぜひボーダランズ2を見習って欲しい。特にレジェンダリのドロップ率と、アイテムのザクザク感。ただのお金でもジャンスカアイテムとして表示してる意味なんかはぜひ見習うべき。

*7:十字キーで入力できる挨拶とかのモーションで簡易なコミュニケーションとルのは楽しかったなそういえば。COOPや3vs.3で開幕で挨拶して返してくれる人はだいたいまともにプレイしてくれる人だった印象。ゆるーいコミュニケーションはやっぱり良いものだ。プレイだけで語る硬派なスタイルも嫌いじゃないけどね。

戦略の多様性とリプレイ性を兼ね備えたStrategyの傑作、Civilization IV

Civ4 の話をしようと思ったが必要ないな。どこのご家庭にでもある傑作Strategy、今更語ることなど…… えっ? なに? 知らない? それどころか持ってない??

 

よぅしわかった、話をしようじゃないか。

あれは6000年前の話だ。

紀元前4000年にシド星へとたどり着いた開拓者と戦士の1団。彼らを率いる指導者のあなたは、己の文明をこの大地で最も優れた文明へと導くために睡眠時間を削る宿命を受けた……

 

 

 

Civilization IV はシヴィライゼーションシリーズの4作目、ファンの間での相性は略称のCiv4。ジャンルはStrategy、日本語なら戦略ゲーム、あるいは戦術シミュレーションなどと言われる部類のゲームだ。

ジャンル名を聴いてピンと来ない人のために同ジャンルの有名かつ優れたゲームを挙げてみよう。例えば将棋や囲碁、チェス。他にはカタンや…… ともあれ、例から分かる通りボードゲームをコンピューターゲームに移植したようなジャンルで、互いに親和性は高い。(Civ4 も最近ボードゲーム版出たし)

 

 

Civ4 がどんなゲームかというと「シッチャカメッチャカ歴史ゲー」だ。

確かに歴史物のStrategy だし、ファンタジー要素とかがあるわけでもないまっとうなリアル設定のゲームだ。しかし、シッチャカメッチャカだ。

あなたがインドでゲームを始めたとする。指導者はガンジーを選んだ。こうしてガンジーことあなたは紀元前4000年という太古の時代から、文明を0から発展させていく事になる。

一ターンごとにあなたが積み重ねていく決断の分だけ、あなたが指導するインドの姿は変わっていく。ピラミッドを作る。キリスト教を創始してニューデリーがキリスト教の聖都になる。世界で最初に火薬と鋼鉄技術を発明して世界に初めて大砲を生み出す。生み出された大量の大砲に由来する軍事力を背景にどんどん隣国を併合し世界で一番巨大な大国となる。国連を設立し名実ともに世界の最大権力者となる……

 

インドの話だぜ? ピラミッドがあるし軍事力に優れた超大国だけど、インドの話。

 

Civ4 はプレイごとにゲームワールド(シド星)の地形も、文明ごとの情勢も、辿る歴史も、ちぐはぐになる。元となった地球の歴史を踏襲することはまず無い。地球の歴史をパーツとして用いて、再構成されたゲームだが、決して歴史をなぞるためのゲームではない。Civ4 で世界史を学ぼうなんてのは無理だ。あなたが指導する国の辿る歴史はあなた次第。どんな技術を生み出し、どんな社会体制を敷き、どんな宗教を信仰し、国土をどのように活用するか。あなたの判断で、あなたの指導する文明は、様々な歴史をたどるだろう。

 

 

ゲームごとにランダム生成された地形の上にランダム配置されたスタート地点から、開拓者と護衛の戦士が手元にいるだけの殆どゼロの状態でゲームは始まる。あなたが今回降り立ったシド星の地形は探索するまでまったくわからない。豊穣で恵まれた土地かもしれないし、不毛の大地かもしれない。すぐ近くに他の文明が存在する火薬庫かも知れないし、周りにはライバルとなる文明が一切いないのどかな土地かもしれない。

プレイごとにまったく違うゲームをプレイしているかのごとく、あなたの体験は様変わりする。違う星の、違う歴史を、毎回あなたは目撃する。更に細かく設定されている地形の生成条件、それを切り替えていけばさらにあなたが遭遇する状況は変わるだろう。シド星に一つの大陸しか無いパンゲアと、複数の大陸がある大陸マップでは、それだけでプレイイングがガラリと変わる。

その上難易度が細かく分かれている。最高難易度天帝は Civ4 が発売された当初は攻略不可能の難易度と思われていたくらい難しいし、攻略が進んだ現在でも自力で攻略しようとするなら相当の歯ごたえを感じるだろう。

1度や10度くらいプレイした程度で飽きるなんてありえない。100回でも1000回でも遊べる。

極めて高いリプレイ性を誇るゲーム、それがCiv4だ。

 

 

 

リプレイ性以外にももう一つ、特筆すべき長所がある。

戦略の多様性。

これこそが Civ4 の面白さの根源であり、今も一切曇ることのないこのゲームの価値だ。

 

 

 

 

Civ4 はゲームクリアとなるための条件が複数ある。

戦争で世界の大半を手中に収める。地上から自文明以外を滅ぼす。文化的な活動を盛んにし世界有数の文化的な都市を自国に生み出す。宗教会議や国連で大半の支持を集める。世界最初の惑星開拓ロケットを飛ばす。

どの勝利条件を目指すかであなたが構築すべき文明の形は変わる。

さらに、勝利するまでの攻略方法があまたのごとく存在する。1つ2つの攻略法を覚えればそれで済むようなヌルい Strategy もどきの事は忘れていい。

攻略情報などプレイヤー間でネットを通して広まってしまう現代においてなお、勝利のための安定した攻略方法など存在しないゲームだ。もちろん定石はある。ゲームの仕様の隙を突くような手法も存在する。

それでもなお、ゲームクリアまでの手筋が固定されてしまいなんどプレイしても似たようなことを繰り返すのみになる世の中の大半を占めるつまらないゲームとは比較にならない多様な攻略方法が存在する。

勝てるようになるまで、でそれだけ楽しめるのだ。その上で、勝てるようになった後には勝ち方にこだわって更に楽しめる。あなたが築きあげる文明の形は無数に存在し、可能性は未だ探りきられていない。

最高難易度:天帝を安定してクリアできるようになってもひたすらプレイを繰り返すファンが多数いるのも納得のゲームだ。

 

 

 

 

リプレイ性と戦略の多様性。

Civ4 のそれは根幹のゲームシステムに由来するのだろう。

Civ4 は土地が根源的なリソースであり、その土地をどうやって確保し、どうやって運営し、より高い出力を出すか、が高難易度のプレイでは問われる。ゲームの全てがその原則に則ってデザインされていて、あらゆる要素がその方向性で噛み合っている。

ゲームの土台が一つのロジックによってきっちりと組み上げられている。

それ故に、Civ4 は結果が論理的帰結となってプレイヤーに返ってくる。あなたの判断ミスには失敗たる論理的な説明がつく。Civ4を支えているルール、時には現実的であり時にはちょっとゲーム的過ぎるそれをあなたがプレイするごとに理解すれば、ちゃんと Civ4 は応えてくれる。

小手先とその場しのぎでパッチワークされたような凡作ではない。

挑戦するに値する品質の傑作 Strategy だ。

 

 

 

さらにゲームとしての要素、デザインでなくファッションの部分に地球の歴史を分析した結果を当てはめてるのが面白い。

太古の時代において馬や金属がどれだけ武力に影響したか?

社会体制が与える影響は如何程のものか?

技術や社会体制、その取捨選択でありえなかった形の国家を形作ってみる楽しみ。

あらゆる条件がランダムで、すべての選択肢は平等で。しかし得意なことがちょっと違う。そんな文明の卵が世界にばら撒かれた時、それからどのように発展していくのか? ちょっとしたIFシミュレーターめいている。

完全なフィクションではなく、しかし史実でもない。この絶妙さが結果として想像力を掻き立て、ゲームに説得力を与えている。

 

 

 

Civ4 は確かにとっつきづらく、割と難しめで、カジュアルなゲームとはいえない。 

だが、歴史に興味があってもなくても楽しめ、一度コツをつかむと病みつきになり、挑戦している条件での安定した勝利を模索し、勝てるようになれば難易度を上げてさらに続けてしまう。そんな麻薬のような中毒性を持つ魔性のゲームだ。

それをプレイしないなんてとんでもない。

さぁ、今すぐ購入してプレイしよう。

最高難易度の天帝がヌルゲーになるその日まで、あなたは永遠にシド星をさまようことになるでしょう!

Rocksmith は音ゲーであり、音ゲー以上のなにかだ

ロックスミス、こいつは未来を感じるゲームだ。

本物のギター、あるいはベースを接続してプレイする音ゲー

曲は嘘偽りなく本物そのままの、名曲たち。

おもちゃを使ったなりきりを超えた、本当に音楽できる音ゲーだ。

 

 

ロックスミスはまったくギターやベースが弾けない人でもまったく問題なく遊べるようにできている。というより、メインターゲットは楽器未経験者だろう。

このゲーム、新しいプロフィールを作って開始すると、まず楽器がちゃんと接続されているか、音がちゃんと出るかというチェックから始まる。そこできちんと接続して音を鳴らせていることを確認したら、次はチューニングをする。このチューニング部分がよくできていて、ギターやベースの初心者が最初につまづきがちなチューニングに関して、予備知識が全くない状態でもすんなりとできるまで付き合ってくれる。楽器を始める前の段階で躓くほどつまらないこともないけれど、現実にはありがちな状態。それをきっちりチュートリアルで乗り越えられるように作ってある。こういう点ひとつとっても「良いゲーム」だ。

最初のチューニングが終わると、続けて軽く音をだす課題がすぐに与えられる。画面の見方、表示に合わせてどうゆうふうに押弦して弾けばいいのか、丁寧に教えてくれる。多少躓いてすぐにできなくても、できるまでじっくり待ってくれる。自分のペースでゆっくり試せる。

 

そうやって最低限のことを覚えたらもうスグに曲の練習だ。

このゲームは自動で選曲された課題曲を練習してライブで演奏する、という流れを繰り返す形になっている。課題曲は最低3曲、最大8曲。すべての曲が合格点に達するとライブになる。ライブでは全曲を一気に演奏する。そうしてすべての曲が基準点を超えてればクリアとなる。そうしたらまた新しいライブのための練習に入る。

ん? いきなりライブとか無茶ぶりだ? 初心者がいきなり課題曲を与えられても途方に暮れるに違いない?

いやいや大丈夫。曲の難易度はプレイヤーのレベルに合わせて自動で調節される。どんな曲も最初の状態ではとっても簡単で、嘘偽りなく楽器経験皆無の人でも十分合格ラインを狙える水準だ。

 

この難易度自動調節、というのがロックスミスの真価だ。

 

楽器経験皆無の人がギターなりベースなりの練習を始めても、楽しい気持ちになれるまでは結構掛かる。最初は楽しくてもすぐに進歩が感じられず辛くなる。じゃあ曲練習していこうと思っても、教えてくれる人がいるわけでもない状態では初心者が曲に合わせて弾けるようになるのも難しい。

 

その点ロックスミスはいきなり曲に合わせて練習できる。しかも、どんな初心者でも弾けるくらい簡単にアレンジしてくれた楽譜でだ。これなら誰でも最初から楽しい練習ができる。

さらに、ちょっとでもうまくなればすぐソレに反応して難易度が上昇する。楽しんで弾いているうちに、いつの間にかアレンジも難し目に変わっていき、より複雑な演奏を要求されていくようになる。

演奏終了後に出る点数も、あなたが上達するに従って、あるいは演奏が複雑になるに従ってどんどん増えていく。

上達を実感できないなんて事態は、ロックスミスではありえない。

 

 

さらに、スライドやチョーキングといった演奏技術も教えてくれる。それも、あなたが弾けるようになってきて、こういったテクニックを身につけるべき段階にたどり着いた時に自動で教習を差し込んでくる。

あなたは細かいことをきにせず、指示通りに課題をこなしていくだけでいい。どのくらい練習したら次のテクニックに手を出すべきか、などと悩む必要はない。

あなたの準備が整っていれば、自然とロックスミスは次の課題を与えてくれる。

 

 

もちろん、ロックスミスで遊び続けるだけで、誰もが一線級のギタリストになれる、などと言うつもりはない。まったくの初心者がロックスミスで遊ぶだけで、他に音楽の知識や演奏技術を学ぼうとしなければいずれ行き詰まるだろう。

だが、逆に言えば。

ゲームをするだけで、ある程度のところまでイケてしまうということ。

あなたが単にゲーマーであり、楽器演奏に興味などなく、あくまでゲームとしてここまで楽しんだのであれば。そこで終わりにすればいい。楽しかったならソレでいいじゃん。

そしてもし。

もし、あなたが音楽の魔力に魅入られて、もっと弾けるようになりたいと願うなら。

そのままロックスミスで遊びつつ、いわゆる普通の楽器練習も並行してやっていけばいい。ロックスミスという自動難易度調整を備えた相棒は、まじめに楽器練習を始めたあなたを、引き続き強力にサポートしてくれるだろう。常に"今"のあなたに合わせた最適な楽譜で曲練習をさせてくれる。

それがどれだけ強力なことかは、これから先の未来にロックスミスで育ったギタリストがあらわれることで証明される……かもしれない。

 

 

ちなみにもしあなたが楽器経験者なら。あるいは現役のギタリスト・ベーシストなら。ロックスミスのことは大量のTAB譜がオリジナルCD付きで入った曲集とアンプシミュレータのセットだと思えば良い。

その上、練習の進捗管理を勝手にやってくれるアシスト機能付き。ゲーミフィケーションって言葉の意味を実感できる良いカリキュラムだ。難易度調整の恩恵はあまり受けられないかもしれないが、それでも例えば難しすぎるソロや早すぎて難しい部分だけ簡単アレンジがかかったりするので、それなりに役だってくれる。

 

 

 

ただ、リード・シートだけでいくらでも弾ける向きや、インプロで引き倒せる向きには流石に役不足だ。そのレベルの方々が試すほどの価値はないかな。

 

 

 

ロックスミス音ゲーだろうか?

その通り、音ゲーだ。

ただの音ゲーだろうか?

違う、気づくと少し楽器が弾けるようになってしまう、最高に楽しい練習カリキュラムだ。そして、どんな初心者相手でもじっくりと相手をしてくれる先生だ。

そして、縦横無尽に弾けるようになるまで付き合う価値のある練習パートナーだ。

楽器なんて今まで縁もなかった人。

昔触ったきりで放りっぱなしだった人。

ぜひロックスミスを試してみよう。

今まで開けなかった、音楽を楽しめる世界へのドアがきっと開くから。

 

 

(2014.5/9追記)

このレビューは無印のロックスミスに対して書いたものだが。現在の最新版Rocksmith 2014でも通用する内容だ。

と言うより、Rocksmith 2014は無印のロックスミスよりも更に練習の道具として進歩している。

無印のロックスミスだと練られていなかったユーザーインターフェースの改善と、セッションモードというインプロごっこができるお手軽バックバンド+アンプシミュレーターの追加が特に大きい。

無印は正直これだけで十分弾けるようになるかというと疑問もあったが。2014ならかなりのレベルまでロックスミス2014だけで到達可能なくらい初学者がプレイした時のことを考えた作りになっている。

そんなわけで、今からロックスミスを買うならなにも考えずに2014の方を購入しよう。