絶賛墜落中の空中遊園地

大地とキスするまでに遊び倒せ

Payday2、良質なメカニクスとファッションを兼ね備えたCOOP-FPSを台無しにした地獄のアンロックゲー

ずっと持ってたのに積んでたCOOP-FPS、Payday2の話をする。

メカニクスとしてはステージクリア型のステルス・銃撃両方ありの対AIな4人COOPのFPS。ファッションとしては銀行強盗映画を思わせる演出が素晴らしい、映画の中に入ったかのようなプレイ体験ができる*1ゲームだ。

前作Paydayは出た直後の難易度易化前において、熟練のFPSerが意思疎通を図りながらプレイしても悲鳴を上げる超難易度ゲーとして話題になった。

難しいことが評価されただけあり、射撃周りのメカニクスも、ステージごとのレベルデザインも、FPSというものをよくわかっている良質の作りで、小さいデベロッパがいきなり出したゲームとしては大当たりだったと言って良いだろう。

その続編であるPayday2も、観測範囲での評判にかぎらず世間的に良好なレビューが散見され、またえらく長々とDLCが投入され続けており、はためには盛り上がっているように見えていた。

ただここ2年弱ほど対戦FPSに戻っていた自分としてはイマイチプレイするチャンスがなく、今年の3月になってやっと初プレイにこぎつけた。

ファーストインプレッション

Paydayから変わらず、良好な射撃周りとマップの作りを誇る良作という印象。メカニクスは極めて良好。

映画に疎い自分でも映画的な、良い意味での非現実感と演出過剰な強盗稼業感が堪らない点で、ファッションの部分でも素晴らしい品質を誇る。

しかし難易度が4つもあるだけあり、難易度を抑えると正直ヌルい。

また、ステルスゲーとしての側面が強くなっており、ステルスクリアを目指すと覚えゲー作業ゲーの側面が強くなる。ステルスゲーが嫌いな自分にとってはこの辺で印象の良さが抑え気味にはなった感触。

しかしとにかく射撃周りが良好で、FPSやる人間としてはAIMが楽しいだけでもう印象はべた褒めに近い感覚だった。

高レベル帯までやっての感想

そんな訳で基本的に好感触のゲームだったのだが。

基本的にはフレンドとのCOOPでプレイしていたが、時々野良マッチングからのCOOPもプレイしてLv80オーバーまでたどり着いた時点での感想はと言うと……アンロックが全てをダメにしているがっかりゲー。

どうしてこうなった。

 

このゲーム、アンロックがとにかくかったるい。その為に否応なく稼ぎ作業をする必要性が感じられ、結果ゲームそのものから作業感を感じてしまい嫌気がさすという。何のためにこれほど上質のゲームを作ったんだ。

まず、初期武器が弱い。話にならない。そんな弱い武器から何に持ち替えたらいいかがインゲームの情報だけだとわかりにくい。というのも初期性能はあまり当てにならなくて、最終的に武器MOD(後付パーツ)をてんこ盛りにした状態での性能とかけ離れているからだ。

じゃぁ試しに使いながら調べていけばいいや、と思うだろうが、そうは問屋が卸さない。武器をいろいろ買って試しながら武器MODをあれこれ取り外しして試す、なんて真似をするだけの金が手にはいらないからだ。

このゲーム、とにかく金が足りなくなる。

銃を手に入れるのに金がいるのはまぁいいとして。その武器MODをつけるのはもとより外すのにもお金がかかるのはどういうことなのか。しかもその金額が実入りに対してでかすぎて、迂闊に付け外しなんかする気になれない。

また武器MODは金があれば買える訳でもない。ミッションクリア後の3択で得られる報酬で武器MODを引いた時だけ「購入権」が得られる。しかも必ず武器MODの購入権が得られるわけではなく、端金やちょろい経験値やどうでもいい外見変更要素が出てくることも多々ある。

一応DLCを買えば武器MODはひと通り手に入る……かとおもいきや、武器MODのDLCは買っただけではダメで、ステージに転がってるアイテムを全部集めて回って始めて手に入る。しかもDLCのMODを手に入れるためのアイテムも配置がランダムで、慣れたミッションでくまなくマップをチェックして回る作業をしてなんとか手に入る。

DLC買ったら即座に使えていいだろうよ……

 

経験値も渋い。

レベルを上げるとスキルポイントが与えられ、それによって任意のスキルを開放していくCRPG的なスキルツリーも存在するのだが。こちらもゲームを進める上で最低限の能力と思えるものが全てスキルツリーに割り振られている有り様。

スキル皆無の状態ではまともに隠れることもできないし一般人を脅しても拘束することができない(縛るためのタイが足りない)。走るのも遅いし回復パックや銃弾を補給するためのパックも使えないし、使えるようにしても使いもになる性能まで強化するには高いレベルが要求される。

とにかく初期状態でろくなことができない。そして育てるためにはその状態でミッションに挑まないといけない。

しかし、ミッションの経験値は渋い。

必然として、0toMAXのファーミングに皆手を染めたくなる。パッチで定期的にファーミングミッションを潰したりということは行っているみたいだが、イタチごっこみたいな感じになっている様子。

適当なファーミングミッションをファーミングのための手順でひたすら反復する脳死作業ゲーにプレイヤーが追い込まれるのは必然だ。

あるいは高難易度ミッションにまともな戦力になれない状態で紛れ込むか。そういうプレイヤーがいても仕方がない状態だ*2

 

一事が万事この調子で、とにかく装備を整えるだけの金が手にはいらない。レベルを上げて高難易度の銃撃ステージに挑めるだけの経験値が手にはいらない。

ここまでバカげた作業ゲーも久しぶりだった。

高難易度に挑む前に、ひと通りのミッション(DLCミッションを含む)を難易度抑え目でクリアした辺りで先にダレるのも仕方あるまい。*3

FPSやりたい人間がFPSをやるという当たり前を忘れるなかれ

アンロックを進めないとゲーム内でまともなミッション遂行能力が得られない。しかしミッションをクリアしないとアンロックを進めるためのゲーム内資産が与えられない。

FPSを買ってプレイしようと思ったのに、FPSをプレイするためにはまず一定の作業を課される、この感覚。

安易にアンロック要素を突っ込んだFPSが陥るこの問題に、アンロックも普通になって久しい今になってここまで盛大にはまってるのも珍しい。

育成カーブとゲームの難易度カーブの整合性をとるという問題、特にRPGの方では長い時間をかけてノウハウが蓄積されてきた問題だと思うが、純粋なFPS屋は当然そんなノウハウは持っていないのだろう。

 

ともあれ、FPSをやるのはFPSをやりたい人間である。

ゲーム内資産を作業ゲーで貯めこむゲームジャンル(RPGに多いが最近は多いよねジャンル問わず)の要素を組み込むのは、これにかぎらずゲームジャンルの壁を壊して新しいゲームを作ろうとする意欲を損なわないためにも否定すべきでないと思うが。

新しく組み込んだ要素で元々の要素を台無しにすることがないよう、重ねてお願い申し上げたいところだ。

 

折角の良質なFPSなのに、そんな訳でPayday2は30時間のプレイで放り投げられたとさ。モッタイナイ……

*1:これは映画のようなムービーを見せられる、とは天と地よりも違う、得難い体験だ

*2:マナー違反だとは自分も思う。思うし、自分は絶対やらないが、しかしゲームがこの有り様ではやりたくなるのは普通だし、プレイヤー数が増えればこういうのは必ずやる人が出る。ゲーム側の作りによって生まれる問題をマナーで解決することは不可能だ。

*3:更に言うなら、レベルキャップに到達した後でLv1に戻る権利を大金を払って買うことでアンロックされる育成要素まである。後、それをやらないとプレイできないミッションもありそうだった。いい加減にしてくれ