Dragon Age: Inquisitionの軽い感想
年始直後、セールの4割引きにつられて買ったドラゴンエイジ:インクイジション。
大作系のCRPGで、発売した昨年2014年秋直後から各種レビュー(特に大手ゲームメディア関係)が良好で宣伝も派手なAAAタイトル。
だというのに年明けまでスルーしてたのは、当時はまだモンハン4Gに飽きてなかったのと、単純に自分がCRPGを好まないため。*1
が、出たばっかりのフルプライスゲーがセールだったのと、年始でプレイする気になれたのと、フレがマルチをガッツリプレイしだした、という複合理由で手を出した。
ちなみに、過去作2つは未プレイ。
シングルプレイは完全初見で最高難易度固定でプレイ。
ファーストインプレッション
現代的なグラフィックによる古典的なCRPG、というのが第一印象。ストーリー描写は丁寧で、予備知識皆無の過去作未プレイプレイヤーにもとっつきやすかった。
戦闘はかなり苦痛。というのも難易度を上げたおかげでちゃんと難しいのだが、さりとてその辛さに対する対抗手段がろくに無い。更に操作キャラ以外への指示がうまく機能しない*2。位置取りが全てみたいな戦闘だったので移動指示が機能しないのはきつかった。
探索は初期マップ:ヒンターランドに限りとても楽しかった。どこに行っても何かしらのイベントが有り、マップの地形も作りこまれていて先に行くと広がる地形にワクワクできた。
ただ、この時点でマップの広さに対する移動速度のノロさ、それに伴う移動のだるさは気になった。が、徒歩から馬に移動手段がランクアップするタイミングだったのと、比較的マップからワープできるポイントが多かったことで、この時点ではこの問題は意識されず。
全体的には古臭いゲームを丁寧に金をかけて作ったゲームという印象だった。
クリア後の感想
しかし、ゲームが進むにつれて移動のだるさが気になっていく。
特に、作りこまれていたのが最初のマップだけであり、他のマップは見た目だけでゲーム的な意味のある要素の密度が薄い、あるいは単純にマップサイズが小さい、ヘタすると道だけ、みたいなのが目についてくる*3。
クエストのバリエーションもどんどん減っていって、お使い感が倍増していく。
だというのに移動はダルいままでとにかく目的地まで意味もなくだらだら走らされる、というプレイフィール。
このため、悪い意味で古典的なCRPGという印象が強くなる。
戦闘も全く面白くならない。
このゲーム、基本的に戦士ジョブのガードか魔法ジョブの障壁で敵の攻撃を受けつつ敵を殴り倒す、という作りになっている。
これに最序盤から気付かされるわけだが、なんと最後までこれが変わらない。最強ジョブ、最強ビルドみたいなものもガードや障壁が実質無限に展開できる、みたいなところに落ち着く。絶望的なまでに戦闘にバリエーションがない。
よって自分という戦闘狂を持ってして戦闘に一切楽しみが見いだせないという有り様。ストーリーとは関係のない強いサブイベントボスを殲滅する気にならないなんて久しぶりであった。
難易度をあげてたせいだろ、とは言われるだろうが。
戦闘を楽しみたい人間が難易度を最大にするのは当然なので、難易度最大でつまらない戦闘は完全な調整ミス(か根本のメカニクスが間違っている)、というのが自分の見解だ。
育成も厳しい。
上記の通り育成していってもカタルシスのない、育てがいのない感覚になるものだったのだが、更に装備の面でも面白みが無い。
基本的にこのゲーム、装備は敵から拾ったりダンジョンで見つけたりするものではなく、設計図を見つけて自作するものである。が、設計図の入手手段がダンジョンの宝箱で、そのダンジョンの宝箱というのが中身ランダムでかつ入手一度で消滅するという。
つまりいいものがいつ出るか完全な運な上、リソース稼ぎのランニングもできない。仕様を事前に知っていれば、中身をとらずにチェックすることで選別は可能だったらしいが、初見攻略ではそんなことはできない*4。
そしてトドメに、ストーリーがどんどん尻窄みになっていく。
終盤の展開がどんどん盛り上がりに欠けていく流れで、オチも訳がわからない。過去作キャラを一番大事なタイミングで投入してくるので、過去作未プレイだとなんの感慨も抱けない。
あまりにもわからないのでスポイラーのたぐいを見て回ったが、事前知識があっても露骨に続編に繋ぎたいだけのぶつ切り、というのが自分の印象。
テキスト総量と選択肢のバリエーションは素晴らしい
が、こうして話題に上げる訳だから見るべきところはあった。
特に関心したのが、テキストの総量。長編小説何冊分? と疑問に思うほどのテキストバリエーションがあった。
そもそもこのゲーム、プレイヤーの選択によって同じ話でもテキストの中身が完全に変わる。個々のキャラクターの関係や問題に関わるモチベーションといったものは全面的に書き換わるレベルだ。
下手なテキストノベルが裸足で逃げ出すレベルでテキストが書き込まれている。
この点は素晴らしい。
会話のテキスト選択肢や、それ以前の主人公の設定選択で展開がガラリと変わり、各キャラクターたちとの会話やプレイヤーキャラの行動選択で更に展開がガラリと変わる。
↑こんな感じでいちいちプレイヤーキャラクタの発言はプレイヤーが任意に選べる。そしてこの細かい選択の積み重ねでストーリー展開が全くの別物になるという。この辺まではストーリーも盛り上がったんだけどなぁ……
更に、過去作をやっている場合は過去作のセーブデータを読み込む*5ことでスタート時点での状況まで変えられるらしい。出てくるキャラクターが過去作での自分のプレイを反映したキャラに変わってたり*6、各陣営の関係が変化したりするそうだ。
この辺は変質的ともいうべきテキストノベルへの執着を感じる。
執着や、もっとこじらせた狂気というものはゲームを面白くする大切なこだわりと思っているので、重ねて主張するがこの点は素晴らしいと思う。
マルチプレイは低品質
ちなみにウリでもあったらしいマルチプレイの方。
こちらは極めて程度の低いハックアンドスラッシュのもどきというのが自分の感想。
シングルプレイでは次キャラと3人のNPCでプレイする戦闘を、マルチプレイでは4人のプレイヤーによるCOOPにしてある。
のだが、シングルプレイとスキル選択肢が違うキャラクターが並んでいるものの、そもそものスキルは共通なため、育成と戦闘がつまらないという条件を覆せない。
その上で、ハックアンドスラッシュを目指したにしては戦闘の実入りがなさすぎる。アイテムはろくにドロップしない、強い敵やレアな敵を倒しても経験値ですらメリットが見えない。
このため、道中の壺を割って小銭を稼ぐゲームと化していた。*7ゲーム内での労苦と実入りのバランスがメチャクチャで何も楽しくなかった。
正直、フレンドとCOOPしてなおつまらないゲームってのは久々だった。*8
マルチプレイを設計した人間には、この世に存在するハクスラを20本ほどプレイして出直してきて欲しいと思う。
フルプライスとしては論外だが低価格ゲームかただのテキストノベルと思うなら買い
結論。フルプライスで買って良いゲームではない(適価は3000円以下というのが自分の見解。セールでどうぞ)、グラフィック(特にテクスチャー品質)だけでごまかした古い作りの、現代でわざわざプレイするほどの価値を持たないCRPGだ。
ただ、テキストノベルとしては圧倒的物量と十分な品質を誇る。設定を把握して回ったり選択肢をいじった時のテキストの変化を網羅したり、といったことが好きなら楽しめるだろう。
つまり自分は楽しめなかった。意地で100時間くらいかけてラストまで見たのにねぇ……
ちなみにセールスは相変わらず良好らしいし、DLCも出てるし、観測範囲で酷評してるの自分くらいだし、そもそも自分も一応100時間くらいかけて最後までプレイはしてるし、このエントリの感想は極端な偏見である可能性が高い。
ので、まぁ、おそらく参考にならないと思うのだが、こんなことも言ってる奴がいるらしいということで。
P.S.
このゲームで一番好きなキャラはヴァリック。こんな魅力的な奴に出会えただけでプレイした価値はあったかな。
ちなみに一番可愛いのはカサンドラ。異論は認めない(異論があるならロマンス入るかロマンスシーンのプレイ動画でも見てみるよろし。あるいはヴァリックがらみの本エピを見るべし)。
*1:前もどっかに書いたけど、古典的なCRPGは経験値を貯めこむ作業ゲーかお使いに走り回る作業ゲーかただのテキストのベルのどれかに落ち着くので嫌いなのね
*2:バグだったようで、今はもう治っているっぽいが
*3:予算を最初にだけ集中したのかねぇ
*4:なにがいいものなのか、事前に全アイテムのリストをチェックしておかないと分かるはずがない。あなたがエスパーなら知らん
*5:正確には過去作でのプレイヤーの選択した結果を任意に選んで読み込ませることができる
*6:選択によってキャラクタの生死や状況・立場が千差万別になるらしく、その辺を反映して今作に出てくるキャラクターが別物に差し替わったりもするらしい
*7:お金でメニュー画面から入れるストアにて宝箱(中身の質は絶望的に悪い)を買うのがほぼ唯一のアイテム入手手段だったため。そしてお金はマップクリアや敵撃破よりその辺の壺(コリジョンがいい加減でとても壊しにくい)を破壊して中身をちまちま拾うほうが収入が多いという有り様
*8:COOPゲーがCOOPして面白いのは当たり前、ということをよく言うのだが。COOPしてなおつまらないと言うのはほんとに久しぶりだった。プレイしてて他のプレイヤーがNPCと大差ない感覚になるメカニクスは根本的に間違えてると思う