Destiny、実力派デベロッパの正統派新作FPS
RPGじゃないよ。
Haloを生み出したbungieの完全新作Destiny(PS3版)をざっとプレイした。
事前の宣伝ではまるでRPGの様な*1印象を受けたけど、蓋を開けてみたらまっとうなFPSだった。というかHaloとジャンルは完全に同じ。
単に最初にシングルとCOOPとマルチ対戦を選ばないってだけ。
インターフェースの面で工夫されて、プレイにおいてシングルかマルチかを特別意識しなくていいようにできていた。
しかし、普通のFPSである。
コンシュマー向けの大作系FPSだと、シングルキャンペーンとCOOP専用ミッションとマルチ対戦の3種類*2が揃っていないとボリューム不足と言われたりもするようだが、しっかり全て網羅してるわけだ。
特にCOOPミッションだとオートマッチングが滑らかで直ぐに3人揃ってゲームができる。なめらかなマッチングはほんとに素晴らしい。この点はマルチ対戦もそうで、マッチングだけでしばらく暇になってプレイできない、みたいなことがない*3。
そんな訳でまっとうなFPSで十分に遊べたが、1つ問題がある。
それは、死ぬほどアンロックが面倒くさい、ってことだ。
Destinyは一応レベル制の育成要素を積んでるように見えるが。
実質的には要素が普通のFPSより多くて面倒なアンロックだ。Lvが低くてもミッションの要求水準を超えれば実質的に問題ない。Lvが上がったらその分敵のLvを引き上げる選択もできる(その分、敵のドロップも良くなる? っぽい)。よって、シングルキャンペーンだけやるつもりだと定期的にレベルが足りなくて敵が異常に硬くなるので、ぼちぼちCOOPやマルチ対戦を交えてレベルを引き上げておくと楽になる作りだ。
……シングルキャンペーンだけやりたい人にはメンドイだけよなこれ。
さらに、COOPやマルチもある程度ストーリーを進めないと選択できないようになっているので、シングルキャンペーンはどうでもいいという人にもメンドイだけである。
目指したものはなんとなく感じれるけど、プレイヤー視点でメリットを感じれない仕様かな。
ゲーム自体はHaloの系譜なパッド操作スポーツFPSとして順当な作り。
対戦ではスキルセットや武装は自分で事前に決めておく形だが。強力な武装の弾はマップで拾わないと使えず、例え殺し合いルールでもマップ内でオブジェクトを取り合う要素は残っている。
一方で多段ジャンプが使えたり、スライディングで相手の射線を切ったり不意をついて移動できたり。使用制限があるスキルで範囲即死攻撃したり胴体でも一撃の銃を召喚したりといった新しい要素もあってHaloまんまってわけでもない。
しかし近距離から密着までの距離で露骨に威力が変わるショットガン、頭に当たるかどうかで露骨に威力に差が出るHS重視のデザイン、そういった部分はHaloのプレイフィールに近い。
とは言えシールドが別にあるスタイルの割にDestinyでは敵は十分柔らかいので、反応速度と判断速度のスピード勝負な印象だ。AIMはほどほどでスピード感を保てる人が強い印象だ。ステージも見通しは悪目の作りで、遠目から先に見つけてAIM差で殺すみたいなシチェーションよりは、敵が次どこから来るか先読みして位置取りに気を配る方が重要な印象だった。*4
3vs.3のルールが特に面白かったので、やり込むならこの辺になっただろう(殺し合いよりobjが好きだからスカーミッシュよりはサルベージかな)。
味方の蘇生ありの小規模チーム戦ってことで連携をしつつ、敵を殺しきる戦闘力が重要だった。最後に自分だけ立ってればいいので味方を心置きなく利用して戦うのが大事だった印象。またゲリラ戦が上手くハマると1vs.3ってギリギリどうにかなる可能性がある戦力比。ショットガンやグレネード、ロケランやスーパースキルと言った瞬殺可能な手段が上手くハマれば個人の力で何とかすることもできる。いい塩梅だと思った。
勝ち越せるようになるまでに6マッチくらい使ったので、他のよくあるルールに比べて慣れが必要だけど、他にないDestinyらしい対戦ルールだと思う。
COOPもやたら硬いボスを3人がかりでなんとか削る遊びを楽しめるなら楽しいだろう。
ステージの作り自体は特にシングルキャンペーンのステージと変わらず。シングルキャンペーンの方でも自分で人を集めればCOOPはできるので、遊ぶ相手がいるならわざわざCOOPミッションにこだわらなくても良いだろう。
が、一期一会のPTでメンツ次第によるハプニングも楽しむつもりがあるなら野良COOPはやっぱりいいものだ。少々しんどいPTの後でびっくりするぐらい練度の高い連携ができるPTにあたったりするととても楽しいものだし。
とま、こんな感じでFPSとしてかなりしっかりした作りで遊びやすいゲームであるDestinyだが。
とにかくアンロックが面倒くさい。繰り返しになるが、これが大問題だったわけだ。
最大Lv20までは割りと遊んでれば直ぐに辿り着くので経験値稼ぎのために変則的なプレイをする必要はないのだが。ここからLv30まで上げるためには装備でレベルブーストのパラメータ(光)を稼がないといけない。そしてこの光つきの装備ってのが……手にはいらないんだ、全然。
基本的にレア以上の装備につくようだが、レアは1回のCOOPや対戦で1つ手に入ったらラッキー位。それが使い物になる水準である可能性はあんまりない。そして、レア程度だとLv22くらいで打ち止めになる。
つまり、更に上のレジェンダリ装備が必要なわけだが……これは本気で全く落ちない。1dを超えるプレイ時間でついぞ一度も落ちなかった。COOPや対戦で他の人にドロップするシーンを見たのもたったの1回。
ちょっとね、これドロップ絞り過ぎだと思う。
一応、レジェンダリは店売りで買うこともできるのだが。
レジェンダリを買うための通貨は対戦かCOOPでそれぞれ獲得できる別枠のものを貯めこまないといけない。これがまた獲得量が渋い。その上で、一週間にそれぞれ100しか貯めれないという制限もある。ちなみに装備は防具が1つ65から130、武器は230くらいする。防具が5箇所、武器が3種装備できるので、さぁ全身レジェンダリにするためにどれだけのプレイを継続的に続けないといけないかなぁ?
……かったるいだけだよねこれ。
更に問題なのが、Lvを上げるメリットの不足。
対戦はLv関係ないので元々どうでも良いし、COOPでもLvに見合った難易度を選択できるのでやっぱりどうでも良い。
一応、高Lvにならないと挑めない専用のCOOPミッションはあるようなのだけど。単に敵がLv上がった分硬いってだけで特別面白くはない印象。一応それなりにAIがアクティブになって難易度が上がるってことだが、COOPでAIが多少賢くなってもねぇ。レベルデザインが凝ってて殺しに来るステージ構成ならまた別だけども、Destinyはそういう作りじゃないし*5。
どーにもやる気がでないよねこれ。
結局、トレハンというものを間違えてる、RPGというものを理解できてない、ってのが問題なんだな。
RPGってのは、育成することそのものが目的になるような、その育成でロールプレイが楽しめるような、そういうゲーム。
トレハンってのは、終わりなき戦闘のために、終わりなき装備強化を求めてドロップを集めたくなるゲーム。
DestinyはRPGと思うにはレベルを引き上げても体感上の変化がないのが問題。
ステータス差で敵をねじ伏せれるならFPSではなくなるから、個人的にはRPGである必要はないんだけど、発売前の宣伝の様子を見うにRPGを作ろうとした印象もある。だとすると明確に失敗しているわけだ。
せめてレベルを上げるメリットを作っておかないと。現状だと自己満足くらいしか意味が無い。しかもプレイが上手いとかそういうのと関係ない要素だから、Lv30って言われても暇と運を兼ね備えてるんだねぇ、位の感想しか出てこないのも問題。もっと自尊心をくすぐってくれないと。
高Lv限定のCOOPやミッションに参加するためって意味が一応あるけど、これは完全な間違い。レベルは戦ってる内に上がるべきであって、戦うための前提条件にされると一気にやる気が消える。戦いたい人は直ぐ戦わせないと。戦いたいならその前に甚大な作業をどうぞってなにを楽しませるつもりだったのか。作業か?
素性のいいFPSであることが完全に死んでしまうぞ。
また、トレハンを楽しむには根本的にミスっている。
トレハンってのは以下の3つを備えないといけない。
- リプレイ性の高い楽しい戦闘
- ザクザクのドロップ
- ランダムすぎる性能分布のアイテム
1の戦闘は完璧だ。
しかし2のドロップは話にならない。いくらなんでも渋すぎる。HSしたら確定でなんかだばっとドロップ、少し強い敵倒したらどかっとドロップ、ボスを落としたら辺り一面がアイテムだらけになるくらいドロップ。そのくらいしないと。*6
更に抜本的な問題を孕むのが3。
装備の性能がまとまりすぎてる。
銃は全てFPSのとしてまとも。FPSerなら分かるリコイルのくせや集弾の仕方、レートや精度と言った部分でもちろん差はある。が、FPSの銃として皆まともなので武器種が同じなら実質的な差をあんま感じない。このちょっとの差でわざわざドロップを掘り返そうって気にはならないよ。FPSerなら使い物になる銃ならなんだって使えて当然なんだから、そもそも特に困らないし。
防具に至っては実質的な性能差をあまり感じない。どうせ敵の攻撃を食らったら死ぬので、遮蔽物をきちんと使ったり、多段ジャンプやスライディングをきっちり使って避けるのが基本。FPSなんだからそりゃそうなんだけど、だったら防具なんて実質見た目しか変わらないじゃない。やっぱりトレハンする気になれないよ。
一応、防具も防御力ってパラメータはあるけど、Lv相応の場所にいる限り数値の差を意識するシーンはない。格下から殴られても平気ってのはゲーム的にどうでもいいし。
あとはゲームとしてのボリューム感も問題がる。
ゲーム自体のボリュームは大したものなんだけど、それはシングルキャンペーン、COOP、マルチ対戦、全てをする人間の話。
もしくはまぁCOOPかマルチ対戦だけなら十分単独でも遊べるだろう。それでもCOOPミッションは数少ない気がするけれど。
だが、シングルキャンペーンだけだとだめだ。がっかりするはず。
ストーリーがHalo:Reachを作ったbungieとは思えない淡白さ。オチ無しヤマ無し。タブン壮大な物語の序章、0章って感じなんだけど、それだけで喜ぶ人は少ないだろう。
特に宣伝につられてRPGかなんかだと思って買った人はシングルキャンペーンしかやらなそうだし、余計に嘆いてそうだ。それにレベルを保ちつつプレイしても、Haloのノーマルからハードくらいの体感難易度なので、FPS自体が苦手だったりするとソロでのクリアは苦労するかもしれない。
そんな訳でシングルキャンペーンだけやるつもりならオススメできない。
こんなところか。
Destiny、十分に楽しめるFPSであったが。
腰を据えるには対戦かCOOPを延々とやり続けてゲーム内資産を蓄えないと行けないめんどくさすぎるアンロック要素がネガティブ要素となる。
しかし、久しぶりにパッドFPSで対戦して思ったが。パッドでガチ対戦する気にはもうならないね、やっぱり。自分にDPI調整されたマウスを握れないなら真剣にAIMして戦いたくはないよ、疲れる。
それにゲーム内資産を蓄えるゲームってのは、それが台無しになるとすごい萎えてしまう。残念ながらPS4を買う気はないので、PS4にしか引き継げないPS3版をやりこんでも後で虚しくなるだけだろう。
そんな訳でDestinyは1dだけのプレイで終わりだ。この先PC版が(万一)出たら腰を据えて3vs.3の対戦マルチに集中したいと思う。
それでは黄金時代の終わりの世界で万が一また会う日があったらその日までごきげんよう。
-SHMTは挨拶をしている。*7
*1:特にボダランみたいなFPS操作のハクスラ系RPGを想定した人多いんじゃないかなあの宣伝だと
*2:しばしばこの3つ全て揃ってないといけない、みたいな風潮を感じるが。本来この3つは全く別のゲームであり1つのタイトルが全てを網羅する必要性はなかったはずだ。対戦マルチを主とする自分なんかは、開発リソースを散らすくらいなら特定のところに注力してほしいと感じてしまったりもする。しかし、bungieともなれば問題なく全部を高品質で作れる(当然、これは普通のことではない。さすがである)のでまぁいいや
*3:Titanfallは見習うように
*4:まぁFPSって本質的に射的ではなく位置取りゲーではあるのだけど。
*5:Halo3/ODST/Reachと最高難易度レジェンドでクリア済みだが、同じくやっぱり殺しに来るようなゲームではなかった。AIMさえしっかりしてればクリアできる普通のFPSだ
*6:この辺はぜひボーダランズ2を見習って欲しい。特にレジェンダリのドロップ率と、アイテムのザクザク感。ただのお金でもジャンスカアイテムとして表示してる意味なんかはぜひ見習うべき。
*7:十字キーで入力できる挨拶とかのモーションで簡易なコミュニケーションとルのは楽しかったなそういえば。COOPや3vs.3で開幕で挨拶して返してくれる人はだいたいまともにプレイしてくれる人だった印象。ゆるーいコミュニケーションはやっぱり良いものだ。プレイだけで語る硬派なスタイルも嫌いじゃないけどね。