絶賛墜落中の空中遊園地

大地とキスするまでに遊び倒せ

AKG Q701 使ってる

ヘッドフォンはAKG Q701を主に使っている。AKGのフラグシップ、になるのかな。オーディオが趣味の人以外はびっくりするくらいの値段がする一品。
もともと持っていたのはSHURE SRH440で価格帯は全然違う。そもそもオーディオにお金をかけるくらいなら音源や楽器に資金を回したいとつねづね思っていて、特にヘッドフォンにもこだわってないのだけど。木造の住居でスピーカーをガンガン鳴らすわけにもいかないし、そもそもまっとうなスピーカーを持っていない。音楽を聞くのも弾くのも基本的にヘッドフォン経由。
音楽に関わるなにもかもをヘッドフォン頼りでやる以上、広く世間で評価されている信用のおけるものをひとつ持たないと不安だなぁ、と思い。一部ではミックスダウンすら行えると豪語する向きもいるAKG K701/702と同じ中身で見た目がちょいカッコいいQ701を購入することにした。
色は白。白いヘッドフォンってなんか映えるかなって気がして。つけるのが自分だからまったく映えないと買ってから気づいたけどまぁいいや。


使ってみた感想は普通だなぁ、だった。
よくオーディオ方面の人が実に詩的に所感を述べていてかっこいいなと思うのだけど、そういう感想はまったく抱かなかった。聞こえているべきであろう音がそのまま聞こえてくる。自分が鳴らした音も鳴らした感じに鳴るし。
ただリバーブの残響やコンプのかかり具合がかなりわかりやすくなったのは事実。こういう部分を解像度が高いとか音域が広いとか表現するのだろうか。ともかく、こうすればこうなるはず、という部分が非常に聞き取りやすい。そういう意味で極めて信用に値するヘッドフォンと思う。

全ての楽器が同音量に聞こえる(はずの)AerosmithのEat The Richもちゃんとその通りに聞こえるし。

後は音場がヘッドフォンにしては広いって前評判だったけど、実際聴いてもその通りだと思った。このヘッドフォンで脳内定位しちゃう人はあまりいないんじゃないかな。

他には聞き疲れが全くない音だというのも指摘したい。後述するつけ心地との相乗効果で、一日中聴き続けても耳が辛くない。いくらキレのイイ良い音がしても、耳に辛い音だと常用するにはしんどい。この点は大変ありがたい。

音に関してはこんな感じか。
確かに凄いし使いやすい。しかし特別な感動などもなく、値段分の価値(SRH440が4・5本買える値段だし)を見いだせたとは正直、言い難い。

ただ、音に関してはQ701の本領を発揮させれてないだけかもしれない。
というのも、普段使っているIFはE-MU 0404USB、音がいまいち疑惑がある。シンセのヘッドフォン端子に直繋ぎした時の音と、0404USBのDACとアンプを通した時の音だと、圧倒的にシンセ直繋ぎの方が音がいいんだよね。アナログシンセでキレの良い高音を鳴らすと顕著にわかる。0404USB通すと眠たい感じになっちゃうんだ。
さらに言うと、最近安く買ったVRM BOXというIFの方が0404USBより高音のキレが良くていい音だという事実もある。値段はVRM BOXの方が圧倒的に安いんだけど、0404USBはずいぶん古い機器だから相対的に性能が大きくおとっても不思議ではない。DACの性能なんてそのままチップの性能だろうし、新しいほど処理能力が高くても不思議じゃない。
古い0404USBじゃQ701の性能を引き出し切れていない可能性は結構高い。安いVRM BOXも役不足だとしてもおかしくない。
Q701はヘッドフォンアンプの影響が大きいみたいな話もオーディオ方面ではよく見かけるし。

もっとも。
オーディオ教に宗旨変えする気はないので、機材を入れ替えるとしたらIFをもっとしっかりしたものにするだろう。マイク2本とギターとベースとシンセをつなぎっぱなしにできたらいいな、とは思っているし、マイクプリやDACがもっと高品質のものになるのも歓迎だ(自分の技術レベルがそれだけのスペックを要求するかはさておき)。




さて、音に関しては(購入価格とともに)膨れ上がった期待に追いついてくれたとは言いがたいQ701だけど。
全力で絶賛したい事がある。
つけ心地だ。

Q701のつけ心地は最高だ。ベロアの触り心地もいい。耳をすっぽりと覆ってくれるのでどこも痛くならない。圧迫感なども一切感じない。本気で一日中つけっぱなしでもまったく困らない。
SRH440は一時間つけっぱなしにするともう耳が痛いんだけど、Q701はほんとに一日中つけっぱなしで平気。昔使っていたaudio-technicaのATH-AD700もかなりつけ心地は良かったけど、それとも比較にならないくらいQ701のつけ心地はいい。ヘタすると一日中ほんとにつけてることもあるのでこれはありがたい。他のヘッドフォンならなんども外して耳を休ませないとしんどいからね。

ヘッドバンドの出っ張りが頭頂部を刺激して痛い、みたいな話をよく目にするけど。そんなことは全くないね。ほんと人によるのだろうけど、こんな手放しで絶賛する人間がいるという事実は認識して欲しい。




最後に。Q701、慣らしで随分変わる。
買った直後に鳴らしたら正直あまりの酷さに辟易してショックを受けた。が、5時間くらいピンクノイズ鳴らしてその後3時間くらい使っていたら、まともな状態に落ち着いた。することで音が良くなるエージングというものはまったく信じてないが、物理的に駆動する機械部分に慣らしが必要なのはまた事実。大口径のダイヤフラム、振動位置が落ち着くのにそれなりの時間が必要のようだ。
買った時かなりびっくりしたので、これから買う人は使いはじめる前にしばらく慣らしが必要だと理解しておいて欲しい。


正直、楽器弾きやDTMやる人が買う分には、同じAKGでももう少し安くて評判のいいK240辺りで良いと思うが。
値段のことを忘れれば不満は特にないのもまた事実。
そんな高度な普通と安心(と圧倒的つけ心地)を提供してくれるAKG Q701。
特にオススメはしないが良いものです。