ロックスミスの悪いところをあげつらってみる
ロックスミスはいいものなんだけど、楽器未経験の人がロックスミスだけに頼ると嵌りそうだなぁ、と思う落とし穴もいくつかある。
一つ、演奏の流れが掴みにくい。
今押さえるところはハッキリ表示されるし、次押さえるところもその次押さえるところもズラーッと見えてるから、音ゲーとしては分かりやすいし見やすい部類。
だけど、演奏の区切りや流れを掴みやすいとはいえない。
とくにきついのがアルペジオで、アルペジオだと気付かないと音をブツブツ弾いてしまうことになる。そもそもロックスミスはアルペジオのことを教えてくれないし。コードの抑え方とストロークを教えたら次はアルペジオでしょう。曲では簡単なアレンジのうちからガンガン出てくるのに教えてくれないのは困る。
他にも「一定のパターンの反復」とか「特定のインターバルの連打」といった流れをつかめば簡単に把握できるところも区別が付くようにできていない。こういう点は五線譜どころかTAB譜にもやはり劣る。3連符の上で4連続パタンのポリリズム、とかさらっとロックスミス上の表記で把握するのはきつい。
音聞けばいいって話ではあるのだけど、それが厳しい人のためのロックスミスなんだから、この辺はもっと頑張って欲しい。
そもそもロックスミスは左手側の指板での抑え方ばかりに傾注してて、右手側のことをおざなりにする傾向がある。アルペジオとオルタネイト・ピッキングくらいはテクニックにあってよかったと思うのだけど。基礎じゃん。
一つ、視覚情報に頼り過ぎちゃう。
音楽はまず聞くことが大切で、色々学んでいけば行くほど最終的にはどれだけちゃんと聴いて音を合わせられるか、って部分に落ち着く。だけど良くも悪くもロックスミスは画面をよく見て合わせるゲームだから、意識がどうしてもそっちに行っちゃう。
またゲーム的に取り敢えずOKを貰えるタイミングには幅があり、明らかにリズムがもたついたりはしったりしても合格して点数が入る。ある程度一定のリズムを保てばボーナスが入る仕組みはあるけれど。ゲーム的に連続ヒットとマスターモード開放の10万点を狙うならあまり気にする要素でもない。
自分が出している音ともともと鳴ってる曲の音をよく聞き分けて、上手くはまらせる、上手く響かせる、ってのが良いグルーブを出すために必要なことだけど、そこへゲーム的に意識が向くようになってない。
ロックスミスだけやった所で良い演奏家にはなれないだろ、って言われちゃう最たる部分だと思う。
この点に関しては例えばテクニックにリズムやブラッシングの項目を作ればよかった。あとは、ギターケイド(ミニゲーム)でイヤートレーニングがあればなぁ。今鳴った音をギターで鳴らしてみよう、とか実にゲーム向きだったと思うのだけど。
一つ。ギターケイド(ミニゲーム)がひどい。
ギターを使うミニゲーム、なんだそうだけど。ゲームとして別に面白くないし、練習としても微妙。せめて機械的なトレーニング、無味乾燥になりがちだけどやるべき反復練習を上手くやらせるゲームになってればよかったんだけど、そうでもないし。
まだ役に立つと思うのはスケール練習させるスケールランナーとコードフォームを覚えさせるゾンビ退治のやつ。コードのはこのままでもかなり役に立つと思うが、スケールの方はもう少し手を入れて欲しい。指板の端から端まで使えばたくさんあるポジション全てを順番に練習していって、1弦3押弦パターンも網羅した上で、横の連結をやらせたりインターバルを開けて登り降りする練習させたり、といった機械的なトレーニングの王道なんか、まさにこのゲーム向きだったと思うのだが。
一つ。マスターモードのオンオフがない。
一発で10万点超えてマスターモードが開放された曲のことなんか殆ど覚えてない。というのにそういう曲が平気でマスターモードとして課題曲になる。まぁ課題曲なら練習して暗譜するからいい。問題はライブのアンコール。マスターモードで当たり前のようにやらされるはるか昔に一度弾いただけの曲。弾けないってば。音聞いただけでサラリといけるなら最初からロックスミスなんかやらないってば。
マスターモードができなくても該当する実績が取れない以外に問題はないのだから、オプションでマスターモードを強制OFFにする項目が欲しかった。
一つ、課題曲の入れ替えがめんどくさい。
弾きたくない曲が来たり、上手く弾けない曲が来た時、課題曲は入れ替えられるようにはなっている(セットリストってところを見るんだ)。とはいえ、セットリスト見てもどの曲がどの曲かなんて知ってる曲じゃないとわからない。あと弾きたくない曲が来る度にいじるのも面倒。
ブラックリストを作って載せた曲は二度と課題に回らないとか、課題曲をランダムで入れ替える機能とか欲しい。
だいたい不満はこんなトコロか。
あー後はどこにも解説ないけどタッピングやスウィープもDLC曲だと出てきたりするなぁ。まぁこの辺が出てくるレベルで弾く人がロックスミスだけでそこまで辿り着くってことは無いだろうけど、不親切ではあるし、ロックスミスの完全性を大きく損ねているのも間違いないな。
ま、とはいえ。
他に類のない唯一の存在なゲームだし、まだまだ改良すべき点は多いのも仕方あるまい。この世に現れた最初の存在としちゃ、アラも少ないほうだろうし。
開発者は音楽関係者でもなんでもなかったようだし、続編なんかを視野に入れてるならぜひ音楽講師とか掴まえて、音楽的な要素も上手く組み込んでくれるといいなぁ。
あとはドラムと鍵盤のロックスミスみたいなゲームも作って下さい。どっちもMidiでいいからさ。できなくはないと思うんだけど。
ロックスミスは音ゲーだけど、音ゲーを超えて教則ソフト、演奏教室みたいな機能を持ってる。そこをもっと上手く、輝かせるようなものへと進化していって欲しいと思う。